愛知県・豊橋鉄道田口線跡-清崎トンネル群】中編
愛知県鳳来町から設楽町田口まで繋いだ、豊橋鉄道田口線。
長原前(ながらまえ)駅と田峯(だみね)駅の間にも、3本のトンネルがあります。
青字…ラピスのコメント ■黒字…作者のコメント
 
 第2清崎トンネルを過ぎたら
 目の前一面、薮になってました。
 行けるのこれ?
 ここからは森に帰った廃道のような
 荒れ放題の状態かも?

 第2清崎トンネルを出てから先は、
 崖の崩落で埋もれた場所が薮になり、
 荒れ放題でした。
 でも、なんとか突破してみます。
 よ〜し行くぞ〜

 あれ?雑草が少なくなった?
 それに道も平坦になってる。
 なんだ、トンネルの前だけが
 酷かったんだ。
 じゃあ普通に歩いて行きます。
 
 すぐにこんな小さな橋が。
 鉄橋です。
 「I(アイ)ビーム橋」と言う物です。
 可愛い橋がちょこんと架かってます♪
 でも、先に行くのに
 これを渡っていかなきゃならないですね。
 ちょっと危なさそう…
 
 とはいえ、この上を平均台よろしく
 歩いて行くのは危険なので、
 山側の沢の上を迂回して行きました。
 おかげでこんな角度から写真が撮れた。
 橋は小さくても、
 橋台は立派な物です。
西山橋梁?

 しばらく行くと、
 またありました「I(アイ)ビーム橋」。
 さっきの物より少し長いです。
 ちなみに“I”とは、
 鉄骨の断面が“I”の字をしてるから。
 いわゆるプレートガーターとは別物。
 

 こちらも横から廻って行きます。
 あらためて見ると、
 実に丁寧に造ってあります。

 こんな小さな橋がある事がわかったのも
 軌道跡を実際に歩いたおかげですね。
 国道からじゃ、わからないかも?

【清崎第一隧道】

 2番目の橋を過ぎれば間もなく、
 第3清崎トンネル
に到着。
 なんだか大変な事になってます。
 夏なんかに来たら、
 近付けないかもしれない勢いで、
 植物がいっぱい生えてます。

 のちに清崎第一隧道と判明
 

 ここはなかなか立派な姿です。
 まだこんな物が隠されていたなんて、
 油断なりません。
 あら?ここにも“通行止”がある。
 これって人に対しての物なの?
 どちらにしても入りますけどね。

 
 トンネル内から外を見ると、
 土砂が木ごと滑り落ちたのがわかります。
 山を走る鉄道や道路は
 常に自然の脅威にさらされてる訳だ。
 よく見かける落石注意って看板は
 だてじゃないですね。
 
 出口が遠〜〜い…
 真直ぐなトンネルで、
 見通しはいいけど真っ暗。
 鉄道のトンネルなので照明が無いからだね。
 いや、あっても廃トンネルなので
 点灯してる訳ないか。
 それに路盤の状態はきれいです。
 まるで整備されたよう。
 目の前に赤い色の杭が刺さってるけど、
 何かの工事のための物なんでしょうか?
 
 このトンネルも下半分だけ
 岩盤剥き出しの所があります。
 で、そういう所で、崩れてる箇所が
 いくつかありました。
 自然に崩れたらしいですが、
 ライトをあててよく見ると、
 そこだけ岩の色が違うんです。
 なんだろう?
 
 300mぐらい歩いたでしょうか?
 真っ暗な中なので、思ったより長く感じる。
 残りあと少しって所で、大きく崩れてますよ。
 それに枕木らしき木材も転がってます。
 崩れた岩をなにげなく見たらここも色が違う。
 白っぽくて黒い点々があって…
 これは花崗岩です。
 壁の所々に花崗岩があって、
 そこが崩れたようです。
 手でも簡単に崩せるほど風化してました。
 それって危なくない?
 何でコンクリートで固めなかったんだろう。
 
 ようやく反対側の出口に来ました。
 うわ。崩れてるよ。
 これも台風のしわざでしょうか?

 それにしても長かった。
 田口線で3番目じゃないでしょうか。
 
 壁には謎の数字が。
 ―2
  No1
 ―3

  No2
 ―2

 いったいなんでしょう?
 
 外に出て来ました。
 入って来た入り口があんなに小さい。
 やっぱりここにも“通行止”あります。
 
 トンネルの南側の崖には、
 崩れて来た土砂がたまってます。
 それに崖を見ると、
 削岩機で岩盤を砕いた跡が残ってます。
 下に落ちてる石には、
 やっぱり花崗岩が混じってます。
 なにげに周りを見渡してみたら、
 途中で折れた細い木があった。
 でも、折れたんじゃなくて、
 斜めに斬られてる。
 よく見るとまだ他にもあります。
 こんな所まで人が入って来てるの?
 
 う〜ん、絵になる。
 少し離れた所からトンネルを撮影。
 ここには若い木が沢山生えてました。
 
 小さな林の向こうには、
 これまた小さな鉄橋がありました。
 「I(アイ)ビーム橋」です。
 田峯駅側にも1つありますので、
 田峯〜長原前間に「I(アイ)ビーム橋」は
 4つあるという事です。
 ここは谷が深くて、ちょっと行けません。
 取り敢えずこちらからのレポートは
 ここまでです。
 後編は田峯側から行ってみます。
[2006年3月現在]

トンネルの中や外には花崗岩が見られましたが、これがトンネル内での崩落の原因です。
この周囲は、設楽層群の凝灰岩や安山岩などで出来ていて、そこに花崗岩が貫入しています。
トンネルの路盤跡にも花崗岩の岩脈が走っていて、白っぽくて細長い花崗岩の筋があります。
この付近の花崗岩は「清崎花崗岩」とも言われる物で、
1500万年前の激しい火山活動で、鳳来寺山が出来た時の物だと思われます。
その花崗岩も風化が進み、崩れて間も無いきれいな岩が、沢山落ちていました。
このまま風化が進行すれば、トンネルが完全に塞がれてしまいそうです。
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