【長野県・南木曽町-柿其水路橋】
長野県南木曽町にある、読書発電所に送水するためのコンクリート水路橋です。
1923年(大正12年)に建設されたもので、重要文化財に指定されています。
青字…ラピスのコメント ■黒字…作者のコメント
 
 愛知県の水路橋と同じ物が、
 長野県にもあります。
 しかもこちらは重要文化財です。
 ネット上で見る姿は、
 大正時代の建築物らしく渋い雰囲気です。

 水路橋の他にも各種物件あり→■周辺図■

 これがその重要文化財「柿其水路橋」。
 「かきぞれすいろきょう」って読みます。
 じつに立派なもんです。
 山の中に突然あらわれる
 コンクリート構造物。
 その下にはふたつの橋があります。
 右が現道、左が旧道です。
 これは東側を見ているところです。
 
 今度は現道の橋の上から見てみましょう。
 2連アーチの様子がよくわかります。
 それにしても・・・白い・・・
 以前見た写真では、
 汚れたコンクリートの表面が
 渋い雰囲気を作ってたのに、
 目の前のこれは
 おしろいでも塗ったかのようです。
 これは“残念”と言うべきなのかな?
 どうせなら汚れた姿が見たかった。
 
 現道の橋の上から、
 下を流れる柿其川と旧道橋と水路橋を
 いっぺんに写してみた。
 川の流れは澄んでいて実に綺麗。
 旧道橋は結構高い位置に架かってるけど、
 水路橋はさらに高い所を通ってる。
 この角度からは見えませんが、
 水路橋の向うの崖に、
 木曽森林鉄道のトンネルが口を開けてます。
 ちょっと近付けない高さにある。
 今回は鉄道ネタではないので
 見るだけ。
 断崖絶壁にあるので行けそうもない感じだし。

 とりあえずもっと近くから
 見てみましょう。
 無論、水路橋の方をですよ。
 
 水路橋の横にある道を上がって来ると、
 グランドがあります。
 その手前に口を開ける坑口が。
 こ・・・これはすごい!
 ピラスターや要石や笠石まである本格仕様だ。
 その中に吸い込まれる水の様子は、
 まるで水没隧道みたい。
 さすがに近付けませんが。

 そんな時、ガサガサッて音がして、
 何か黒いモノが駆け抜けていった。
 うおっ!! まさか熊? イノシシ?
 よく見たらニホンザルだった。
 
 おおっと。こんな場所にサルが居るの?
 む。まだ何かの気配が・・・
 って、サルの群れが走ってる。
 水路橋の点検用の通路を12匹ぐらいのサルが
 一目散に走ってます。
 サルまっしぐらです。
 いや逃げてます。
 突然あらわれた人間にびっくりしたみたい。
 サルが去るだ。
 
 坑口の上から正面を見ると
 こんな感じ。
 なみなみと水が流れてます。
 橋と言うより、用水みたいだ。
 普通の橋と違うのは、橋桁が“重さ”だけじゃなく
 “水圧”にも耐えなくちゃいけない事です。
 なので橋桁の補強のために、
 沢山の柱が横に並んでるのでしょう。
 アーチの上に並んだ支柱も
 いいアクセントになってる。
 
 
 今までの場所は他所のサイトでも見れたけど、
 反対側はどうなってるのだろう?
 水路橋の下を通る道を西に進み、
 もう一度柿其川を渡る橋の所から
 水路橋の近くまで来ました。
 これも坑口の一部ですね。
 こっちはこんなそばまで近付けるの?

 あ。それと、手前の広い所は
 木曽森林鉄道の線路が通っていた跡です。
 今は何も残ってませんが。

 ( ̄▽ ̄;)後で調べてみたら、線路跡って
 向う側、水路のフタの所を通ってたそうで・・・
 
 さぁて、水路橋の方を見てみようか。
 って“ふた” されてる?
 しかも水路はあんなに向こうだ。
 それにこの壁?囲い?は何だろう。
 建物の跡みたいです。

 さっきのサル達はもう居ないね。
 山に帰っていったのでしょう。
 サルだらけかと思った。
 
 で、坑口はこんな感じです。
 出口が見えないので、
 ポータルと言った方が“しっくり”きそう。
 ちょこっと見えてるのは要石みたいです。
 埋没隧道のような景色。
 向う側には民家が見えます。
 実はこの下の方、
 水路橋の西側の斜面の上には、
 数軒の家が建っていて、
 ちょっとした集落のようになってます。
 
 謎の施設跡を水路橋の方から見ると
 こんなふうですね。
 壁に隙間があるけど、
 これは入口なんでしょうか?
 管理小屋でもあったので・・・
 まあいいか。
 ちなみに今私が立っているのは
 鉄のパネルの上です。
 これって水路のフタ?
 鉄板がはずれたら水路にドボン…
 なんて想像して・・・
[2007年3月現在]
 
 ■一通り水路橋の取材は終わりましたが、
 これを造った「福沢桃介」について
 もうちょっと調べてみようと、
 「福沢桃介記念館」に行ってみました。
 桃介橋をはじめ色々な資料が展示してありましたが、
 その中にこんな写真がありました。
 どうやら木曽森林鉄道のトンネルの上から
 撮影されたもののようです。
 写真でははっきり見えませんが、
 水路橋の下の県道の旧道は、
 かつて“ダブルワーレントラス橋”が
 架かっていました。
 
 ■これは同じアングルから写した物です。
 木曽森林鉄道の廃線跡を探索した折、
 偶然にも同じような場所から撮影した写真です。
 21世紀になった現在も、
 水路橋の周りの景色は変わりません。

[2007年3月現在]

読書(よみかき)ダムから、読書発電所に水を送る導水路が柿其川の谷を渡る場所に、
鉄筋コンクリート製の橋、「柿其水路橋」が架かっています。
全長142.4mもの大きな橋桁を、2連のアーチと多数の支柱で支えています。
読書発電所は日本の電力王と言われた、福沢桃介によって、大正12年に建設されました。
完成当時は国内最大出力を誇ったといいます。
柿其水路橋と読書発電所は平成6年、共に国の重要文化財に指定されました。
道ネタ「橋梁」TOPへ…