【名鉄小牧線-空港引込み線跡】
長らく国際線の空港として、愛知県の空の玄関だった名古屋空港。
全国でも珍しい、民間と航空自衛隊が同じ滑走路を共用する空港でした。
2005年2月「中部国際空港セントレア」開港により、現在は「県営名古屋空港」として営業しています。
そんな名古屋空港には、何十年も前に廃止された、引き込み線跡があります。
青字…ラピスのコメント ■黒字…作者のコメント
 

 少なくとも30年以上前には廃止されていた
 名鉄小牧線からの引き込み線の跡。
 その昔、名古屋空港は小牧空港という名前でした。
 ここに廃線跡がある事は、以前から知っていたので、
 このサイトで路上観察ネタを始めたのを機会に、
 ちゃんと見て来ました。
 今回は地図の代わりに空中写真をどうぞ


 この扉の向こうが名古屋空港です。
 線路はその手前でぷっつり途切れてます。
 で、空港内はどうかと言うと、
 すっかり無くなってます。
 扉の隙間から覗いてみても、
 痕跡すら見付けられませんよ。
 空港外の様子と比べて、何という違いでしょう。

 それと画面中央の白い物は雪です。
 今日は1月なので寒いです。
 お陰で雑草が少なくて線路がよく見えます。
 

 さて、さっそく廃線跡にまいりましょう。
 レールも架線柱もしっかり残ってます。
 こんな状態で、何十年も放置されている。
 近頃の名鉄は、廃線後にレールなどを
 速やかに撤去してしまって、
 味の有る廃線跡が残りません。
 なので、こういうのは珍しいです。
 でも、少〜〜しづつ、物が無くなってる。
 それは追々見て行きましょう。

 
 今回のレポートは写真多めです。
 廃線跡の雰囲気を堪能して下さい。
 ここは上の写真の所より、
 50mぐらい来た所です。
 朽ちた枕木がまだあります。
 廃線跡って長細い土地なので、
 使い道がないのが、幸いしたって事ですね。
 
 上を見上げれば、
 架線の跡が。

 今日は空も高いです。
 
 今度は空港の方を向いて撮影。
 光の具合でレールが光って見えます。
 2本の線路がここで合流する、
 いわゆるポイントです。
 左のレールは埋もれてます。
 っていうか、途中で外されてます。
 邪魔だったから?

■ポイントでもここは、「クロッシング」と呼ばれる部分です。右側の短いレールは「ガードレール」、中央の曲がったレールは「ウィングレール」と言います。
 
 ポイントの切り替え部分も残ってます。
 レールを動かす鉄の棒が草に隠れてます。
 
 ポイントの全体像です。
 線路が地面に刻まれた遺跡のようにも見える。
 このまま100年も経てば、
 本当の遺跡になるよね。
 まあ、100年も持ちそうにありませんが…

 そう言えば、ここにはあれがあった筈だけど?
 ポイントを切り替える、あれです。

■ここがポイント本体の部分です。とんがっているレールは「トングレール」と言います。以前ここには、ポイントを切り替えるための転轍器(てんてつき)がありましたが、現在は撤去されています。
 
 引き込み線は県道102号線を横切って行きます。
 現役当時はここに踏切りがあったのでしょうか?
 県道上には、線路の痕跡はまったくありません。
 通りかかってもまず気付かないです。
 あの看板なんか目印にすればいいかも?
 
 線路の痕跡はないけど、こんな物が残ってます。
 三つ目の信号?
 県道の方じゃなく、鉄道の方を向いてます。
 ランプとかは無くなっているけど、
 しっかり立ってます。

■これは入換標識と言う、ポイントの状態をしめす信号です。先程のポイントのための物というより、この先の小牧線に乗り入れるポイントのための物なのでしょう。
ちなみに、下の2つが点灯している時は「ポイントの閉鎖」。上と下の1つが点灯の時は「ポイントの開通 」だそうです。
 
 県道を渡って来ました。
 県道は交通量が多いので、横断は気を付けてね。
 いやまじで。

 こちら側もしっかり残ってます。
 探索したのが1月なので草が少ないけど、
 夏なんかは軽く薮になっていて、
 レールはほとんど見えなくなります。
 
 50mぐらい来ました。
 まだまだ線路は健在です。
 ああ、そうそう。
 今日はマウンテンバイクで探索してます。
 線路内は枕木があるので、
 そこを走ると、がったがたに揺られます。
 さすがにそんな所は無理なので外側を通ります。
 でも、何かにおうんですけど…
 草や土のにおいとは違うこれは…
 線路脇には「必ずしようフンのしまつ」って
 小さな看板がありました。
 愛犬家の人にお願い。
 ちゃんと後始末してね。
 通る人がいるんだから。
 
 無くなっていた架線柱が、ここにきて復活。
 と言っても柱だけ。
 民家の脇を通って行きます。
 
 名鉄小牧線が見えて来ました。
 間もなく合流します。
 引き込み線は向きを変えるためカーブしてます。
 
 これは何でしょう?
 レールがワイヤーのような物で繋がれてます。
 電気が流れていたの?
 まさか鉄道模型じゃあるまいし。
 それとも何かの信号が流れていたとか?
 さっきの入換標識のための物なんでしょうか。
 きっと鉄道マニアの人なら
 一目でわかるんだろうなぁ…
 別に私は鉄道マニアになりたくは無いですけど。
 もうすでに道マニアですから ( ̄ω ̄)ノ
 

 小牧線までやって来ました。
 新しそうな複線の路線ですけど、
 けっこう歴史は古く、昭和6年2月の開業です。
 当時は電車じゃなくて、
 ガソリンカーが走ってました。
 馬力が弱くて、満員の時は
 橋の手前の坂すら登れなかったそうな。
 さて、引き込み線はここで合流します。
 写真はその付近の様子。


[2005年1月現在]


ちょっと調べてみた所、この廃線跡は昭和43年10月1日に廃止された、
航空自衛隊小牧基地への引込み線だった事がわかりました。
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