【長野県・県道256号線旧道-花房隧道】
長野県三岳村の御岳湖にある、牧尾ダム東側には旧県道の小さな廃隧道があります。
青字…ラピスのコメント ■黒字…作者のコメント
 
 木曽の森林鉄道の資料さがしていた時に
 地形図になにやら怪しい場所を発見。
 県道の横に、橋の無い道が…!
 それに隧道のマークも…!!
 こ・これはまさしく廃隧道ですよ。

 短い廃隧道の周辺図→■周辺図■

 こ・これは なんて大袈裟すぎたかな?
 さて、ここが問題の怪しい道です。
 画面の真ん中をどーんと走ってるのは
 県道256号線。
 2車線の快適な道です。
 旧道はそこから分かれてる少し細い道です。
 車の停まってるのがその道。
 車のいるあたりまでは入れますが、
 その先はフェンスのゲートで塞がれていて、
 車はおろか、バイクも入れません。
 しかもこのあたりは猿が居ます。
 県道上を何匹も歩いてました。
 
 写真を撮ってる時も、
 目の前で平然と木の実を食べてたので、
 人なれした猿達なのでしょう。
 猿の話はこれくらいにして
 旧道の方に話を戻しましょう。
 先程のゲートをすり抜けて
 隧道の前まで来ました。
 ここも紅葉が綺麗です。
 花房隧道はちょこっと飛び出した
 山の下を通ってます。
 あ。なんて事でしょう!
 隧道の中から対向車が来てます。
 この向こうには橋が無くて、
 車も人も通って来れないのに。
 
 と、言うのは冗談で、
 これは道路の維持管理用の車両です。
 廃隧道が車庫として使われてるようです。
 だからフェンスで塞いであるのかな?
 ポータルはコンクリ製の普通の物です。
 アーチの周りには溝が彫ってあります。
 なんだかすごい、お手軽な造りだ。
 いつ造られたのかな?
 ちょっと調べてみよう。
 昭和33年に造られたようです。
 長さは29m、幅5m、高さ4.9m
 曲がってるので向こう側は見えません。
 
 中に入る前に、
 ちょっと上を見てみましょう。
 ずっと上の方まで山が削り取られてます。
 ごってりとコンクリートが塗られて
 人工的な景色だけど、
 色付いた木々が雰囲気をやわらげてくれます。
 扁額は黒地に「花房隧道」とあります。
 その下には「スピード落とせ」の看板が。
 「トンネル内 急カーブ」なのに、
 標識の絵が直角の矢印になってる。
 まあ、どうでもいいことですが・・・
 
 中は素堀にコンクリ吹き付け。
 見た目の雰囲気とは違って、
 中はけっこう広いです。
 トラックがすれ違えそうな幅です。
 ああ、そう言えば“幅5m”でしたね。
 カーブの所には反射板が並んでます。
 
 隧道の向こうにはロックシェードが付いてます。
 ほんの10mくらいの小型版です。
 ここにもトラックが1台置いてある。
 そしてその先には、
 通行止のガードレールがあります。
 がっちり塞がれてるけど、
 ここを塞がないと大変な事になります。
 
 さて、ガードレールの脇を抜けて
 外に出て来ました。
 こっちはロックシェードが目立ってます。
 もうちょっと下がって撮ろうかな?
 いえいえ、それは無理。
 隧道前に残った路面は
 短い距離しか無く、
 その先は・・・
 
 スパーンと何もありませ〜ん。
 両岸の橋台が残るのみです。
 しかも何という高さでしょう。
 30…いえ、40mぐらいありそうですよ?
 足元のアスファルトも
 途中ですっぱり途切れてます。
 その向こうには空中しかありません。
 1歩でも踏み出そうもんなら
 垂直落下だよ( ̄Д ̄)
 アーチ橋でも架かっていたのでしょうか?
 いや、アーチ橋じゃなかった。
 トラス橋が架かっていたようです。

 それにしても、こんなに高い橋台は始めてです。
 さすがにぎりぎりまで行って
 下を覗く勇気はありません。
 そんな恐ろしい場所にもかかわらず、
 木々が綺麗に紅葉してます。
 
 お隣には現道の橋、「六段橋」があります。
 立派なアーチ橋です。
 上路式ローゼ橋だって。
 これを見てもわかるように、
 すごい高さに橋が架かってる。
 その向こうには、大きなロックフィルダム
 「牧尾ダム」が見えます。
 こちらのアーチ橋側はダムの下流になるのですが、
 対岸の平地が高い位置にあるため、
 こんな高い橋になった訳です。
 
 隧道の対岸はどうなってるでしょう?
 現道橋を渡って行ってみました。
 こっちもフェンスでガードされてました。
 しかもより完璧に。
 許可無き者入るべからずです。
 こりゃぁ絶対入れませんね。
 って思ったけど、
 ちょっと離れた所から、入れたりして…
 でもまあ、そこまでする事もないか。
 なのでこのレポートもこれにて終了。
 それにしても、向こうの山が
 綺麗に紅葉してるわ。
[2006年11月現在]

県道は走りやすく、きれいに整備されています。
花房隧道とその前後の道も、けっして狭い道では無いのですが、
隧道の現役時代は信号による交互通行をしていたため、通行上のネックになっていたのでしょう。
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