【岐阜県・県道17号線-桐谷坂廃道】
県道17号線の、各務原市・岐阜県・関市の三市が接する所の峠に、桐谷坂があります。
今は主要地方道として、多くの車をさばいていますが、昔は狭く地味な険道でした。
青字…ラピスのコメント ■黒字…作者のコメント
 
 一見、廃道があるように見えない所に
 なかなかいい具合の
 廃道がありました。
 これも私の日頃の行ないが良いから?

 周辺図はこちら→■周辺図■

 通るたびに気になっていた脇道。
 いつもは「廃道かな?」
 なんて考えながらも、
 立ち寄る事はなかったけど、
 今回はちゃんと調べてみます。

 桐谷坂の峠から、山の中に道が延びて行きます。
 この景色は紛れもない旧道のお姿。
 しかもなんて狭い。
 まさに険道。
 2ケタ県道なのに…
 現道は出世して、主要地方道になってます。
 
 こんな狭い道路でも事足りていたなんて、
 のんびりした時代もあったもんだ。

 侵入して旧道はすぐに荒れ始めます。
 でも思った程薮はひどくないですね。
 今でも使われてるの?
 
 しばらく行くと、
 カーブの所に小さな看板が立ってます。
 看板っていうには微妙なサイズですが…
 「縦走路 登山口」って書いてある。
 縦走路って事は、山の尾根を歩く道ですか?
 確かに、森の中には道が続いて行きます。
 やはりこの廃道は、
 ハイカーなどに利用されているみたいです。
 
 ここからは穏やかな雰囲気の中を進みます。
 車はまったく通ってない様子。
 峠を過ぎたのに、
 全然下って行く気配がありません。
 現道は峠から一気に下って行くのに、
 旧道はそのままの高さで、
 かまわず行ってしまいます。
 でもさすがにゆるやかな坂になっている様です。
 
 外が見渡せる場所に出ました。
 遠くに各務原市の市街地が見えます。

 その昔は、町が見えて
 ほっとひと安心
 な、場所だったんでしょう。
 「やっと山から抜けた」
 みたいな。
 

 上の写真の場所から現道が見えますが、
 かなりの高低差があるのがわかります。
 足元を車が流れて行きます。
 なるほど、こんな所を旧道が通ってたんだ。
 今まで知らなかった。
 現道からは、旧道の姿はまったく見えません。
 っていうか、峠道なんかで上を見てたら
 危ないです。
 気付かない っていうより、気付けない。

 
 空が見えるようになって来て、
 明るい雰囲気です。
 明るい廃道。
 それは、ここの山の木が少ないから。
 だから陽当たりが良くて、
 こんなに明るくなってるんです。
 木の少ない理由は、
 開発や伐採とかじゃなくて、
 山火事です。
 この辺り山の、かなりの面積が
 焼失しました。
 
 時に2002年4月5日。
 午後から出火した山火事は、
 西の権現山方面から広がり、
 2日間に渡って燃え続けました。
 鎮火後も、しばらくは焦げた臭いがしていて、
 県道を通っても、
 火事場独特の、あの臭いが充満していました。
 廃道から見える木々も、焼け焦げていて
 黒い姿をさらしています。
 今ではかなり回復してるけど、
 3年後の現在もまだ、はげ山の部分があります。
 
 そんな山火事跡を抜けると、
 廃道部分はお終いです。
 通行止の向こうにはアパートが建ってます。
 川崎重工の社宅だそうです。
 火事の時は、このアパートの背後まで
 火がせまって来ました。
 火事現場の空中写真を見ると、
 燃えた跡がすぐ近くまで来ているのがわかります。
 …それってすごく恐いですね。
 でもこの山火事で、
 被害にあった家はなかったそうです。
 結構人が住んでいる所なので信じられないです。
 うそのような本当の話。
 
 これにて廃道探索終了。
 今ではすっかり元通りの生活を取り戻して
 平和な風景です。
 最後に廃道の写真を撮ってみます。
 「山火事注意!」の看板が実に切実。
 山では火の始末を確実にね!
 でも、アパートの前で写真を撮ってる
 自分は怪しい人物?
 通報されない内にさっさと退散。
 旧道はここから一気に下って行きます。
[2005年5月現在]
 
 さて、桐谷坂にはもう一つ旧道があります。
 峠から少し北に行った所に、
 小さな谷を回り込む道が、
 現在も地図に載っています。
 ここも前から「廃道かな?」って思っていた所。
 さあ行ってみよう♪

 でも、何だか林道みたいな感じです。
 
 アスファルトはひびだらけ。
 県道の旧道らしく、ガードレールが残ってる。
 その向こうはちょっとした谷になってます。
 この先はどうなってるのでしょうか?
 路面の様子から見て、
 トラックなんかが通っているみたいです。

 よく考えたらこの道、
 以前はこんな山奥な感じだったんだ。
 新しい道は、車がびゅんびゅん飛ばしている。
 

 なんて考えていると、
 目の前には工事現場のような場所が。
 採石場ですか?
 採石場ではなく産廃処理場なような雰囲気。
 旧道はここへのアクセスに
 利用されていますね。
 でも、途中から道筋が変わっているみたいです。
 旧道のもう一方の入り口は、
 完全に森と同化していました。
 現道側は工事用のフェンスで封鎖されてます。
 旧道としては、どうしようもない状態ですが、
 とりあえずレポートしておきますね。

[2005年7月現在]


廃道としては申し分ない状態の道でした。
しかし、2002年の山火事の時は、この廃道も炎に飲み込まれてしまったのでしょう。
その際、消化活動のために廃道が使われたのでしょうか。
道ネタ「廃道」TOPへ…