【国道153号線旧道-郡界橋】
愛知県を代表する石造りの隧道、伊勢神隧道の東に残る旧道部分には、
大正時代に造られたコンクリートのアーチ橋があります。
青字…ラピスのコメント ■黒字…作者のコメント
 
 実はこれも偶然見付けた物件なのよ。
 なにげに視界のすみにチラッと見えて、
 気になって探してみたら…
 ありました。廃橋梁。
 しかも、すぐ近くには廃墟郡もあったりして
 橋のある一帯が捨てられた物で
 しめられてます。
 地図と昔の写真はこちら→■周辺図■

 ■郡界橋-側面図■
 
クリックすると原寸サイズの物が
 別窓で開きます

 レポートの構成上、スタートは東側になります。
 国道153号線を稲武から豊田市に向って来ると
 伊勢神トンネル手前のカーブに
 郡界橋があります。
 上に掲げてある青看板を見ると、
 どんな感じかわかるよね?
 右にぐるっと曲がってるのが国道153号線、
 上に延びて行くのが県道484号線です。
 で、古い橋は左側に入るけど…
 何か、様子が変?
 
 国道から分岐する所には
 大きな土嚢が並んでいて道を半分塞いでます。
 崖でも崩れてるのかな?
 …崩れてないじゃん。
 え? 何であるの土嚢?
 こんなのあったら通りずらいよね。
 でも、後から考えたら
 わざと通りずらくしているみたい。
 矢印もここを曲がれと、車を誘導してます。
 なにやら複雑な事情がありそうです。
 (実はこれ、ただの法面工事でした…)
 
 少し行くと民家が数軒建ってます。
 こんな所に住んでる人が居るの?
 でもよく見るとこれ、廃墟ですよ。
 人なんか住んじゃ居ません。
 最初見た時は「留守かな?」って思ったけど、
 路肩に並ぶ雑草があやしい雰囲気。
 写真には写ってない所にも、
 事務所みたいな建物があります。
 ガレージには物がいっぱい残ってて、
 今だに生活の臭いがします。
 
 でもこれなんか、まだ住めそうですよ。
 って、よく見たらドアが開いてる!
 部屋の中がよく見えます。
 入れるよ…これ
 しかし、今日の目的は「橋」です。
 なので廃墟はスルーの方向で。

 でもね、もしかしたら歓迎されざる住人が
 居るかもしれません。
 人の気配はしないけど、
 こういう物件は廃墟系の人に任せましょう。
 

 突き当たりには、
 何かの作業場の建物があります。
 柵で塞いであって、入る事は出来ません。
 中を見ると車が置いてありました。
 放置車輌ではなく、誰かが駐車している様です。
 どうやらこの建物だけ、物置きとして
 使われているみたいです。
 先に見た中途半端な土嚢の理由は、
 これにあるようです。
 使っている人が居るから封鎖が出来ないけど、
 部外者は入れたくないので、
 塞がれているように見せてるだけみたい。

 
 道は廃橋梁に向ってカーブしてます。
 でも、肝心の橋はどこ?
 草しか見えませんよ。
 いえいえ、その草が生えている所が
 その廃橋梁、旧「郡界橋」です。
 なんと、アスファルトが橋を境にして
 ただの草地になってる。
 
 高欄はしっかり残ってます。
 草に隠れてるけど、
 |×|×|×|っていうのが並んでる。
 奥に見えるのが現「郡界橋」。
 比べると旧橋の古くさいのがよくわかる。
 下の河原はいかにも釣り人が好きそうな所ね。
 渓流釣りが出来そう。
 しかもきれいな渓谷です。
 あの赤い橋がなければ、
 もっといい景色だったのにね。
 
 橋を渡って県道484号線側に来ました。
 ここから見ると橋の上の路面がちゃんと見える。
 実はこれ、6月に撮った写真なんです。
 2回目に訪れた時は夏真っ盛りなので、
 植物の勢いがよくなってます。
 ちょっと見、まだ人が住んでそうな感じで、
 この橋がぼろぼろなのが違和感あります。
 右の大きな建物がさっきの作業場のようなもので、
 場所柄、製材関係みたいです。
 
 旧「郡界橋」の西側は
 県道484号線に繋がっていて、
 ここをまっすぐ行くと、再び国道に出ます。
 よく見ると車が横切ってる。
 ここから現道までの間が、
 国道153号線の旧道になります。
 古い言い方をすれば、飯田街道ですね。
 ちなみに、右端に見えてる茶色っぽいのは、
 県道の電光掲示板。
 
 上からは橋がよく見えないので、
 横の方から見てみようと、
 現道の現「郡界橋」の上に来ました。
 歩道がないので、いささか危ないですが…
 おお〜、なかなかいい眺めだ。
 渓谷に架かるアーチ橋がステキ♪
 …でもちょっと遠いなぁ…
 カメラのズームでも大きく写せない。
 光学3倍ズームじゃ無理です。
 10倍ぐらいが欲しいなぁ…
 何とか近付けないか周りを探索してみます。
 河原に下りたら真下から見れそう。
 でも、どこにも道がありません。
 
 何とか下に下りて来ました。
 ああ、やっぱりよく見える♪

 県道の脇から、
 釣り人が通った踏み跡を下りて、
 さらに森の中を突破して河原まで来ました。
 ここに釣りに来る人が居なければ
 私も来れないところでしたね。

 さて、もう少し接近してみよう。
 
 けっして大きな橋ではないけど、
 この角度で見上げると
 それなりに迫力があります。
 う〜ん、絵になる
 とりあえず1枚。
 パチリ☆

 歴史を感じる姿ですが、
 1917年大正6年の建設です。
 
 なるほど、こうなってるのか。
 大正時代らしくモダンなデザインです。
 橋桁を支えるために、アーチの上に並んだ
 コンクリの支柱が鳥居みたいに見える。
 鳥居と言うより昔の木造橋のデザインを
 模したって言う方があってるかも。
 鉄の棒で補強がしてあるけど、
 これは建設当時からあるもので、
 オリジナルの部品です。
 それにアーチや橋台なんかの部分も
 角が面取りされていて、
 こだわりが感じられます。
 
 せっかくなので現「郡界橋」も見てみましょう。
 こっちは金属製橋です。
 プレートガーターですか?
 道はカーブしてるけど、橋桁はまっすぐ。
 カーブの橋って、こうなってるんだ。
 まさに新旧共演ってとこね。

[2005年8月現在]
 
 4年ぶりに行ってみたら、
 ご覧のありさまに…
 「この先 郡界橋は危険なため通行止
 まあ、確かにボロボロですが、
 そんなに危険なモンなの?
 とは言え、ちゃんと検査した結果
 危険と判断されたかもしれないので、
 入らない方が無難ですよ。

[2009年6月現在]

廃墟といい、旧「郡界橋」といい、完全なる廃物件になる一歩手前で
なんとか留まっているという感じです。
しかし、こんな素晴らしいアーチ橋が、このまま朽ちていくのは勿体無い限りです。
たとえ文化財じゃなくても、後世に伝えていくべき物だと思います。
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