【塩尻市-中央本線 旧権現トンネル】
中央本線贄川駅の南北につづく廃線の遺構。そこにあるトンネルはすでに、崩壊が始まっていました。
青字…ラピスのコメント ■黒字…作者のコメント
 
 旧鳥居トンネルに続いて、
 中央本線の旧トンネル第2弾です。
 こちらは大丈夫そうです。
 いや、大丈夫じゃなかった。
 ここも壊れだしてるよ( ̄□ ̄)…!

 その危ないトンネルはここ→■周辺図■

 ここは長野県塩尻市の南、
 国道19号線から脇道に入って
 民家が途切れた所にあらわれるのがこの広場。
 白い屋根の小屋はトイレのようです。
 なぜにトイレ?
 旧トンネルの見学者のためですか?
 例のトンネルはそのトイレの向こう、
 森の手前に口を開けてます。
 わかりやすいですね。
 さて、斜面を上がって、
 旧権現トンネルと御対面です。
 
 おお。本格的。
 塩尻〜奈良井間が1909年、明治42年開通なので、
 ここも明治時代のトンネルでしょう。
 塞がれもしないでいるのは、
 大事に保存されてるのかな。
 それに、トンネル前の雑草も刈られてます。
 90年以上前のトンネルとは思えない
 きれいな状態です。
 アーチの前には「55」の数字が書いてある。
 
 中はどうだろう。
 古いだけあって崩れてる。
 コンクリートで補修されてるけど、
 長年使われていた感じがして
 いいですねぇ。
 煉瓦が崩れたのは廃止後だろうか?
 
 あ。
 こんな所にスイッチがある。
 赤いスイッチだ。
 自爆スイッチだろうか?
 押すのはやめておきましょう。
 …いや、別に押しても
 何も起きないだろうけど。

 電線なんかも残っていて、
 現役時代の雰囲気が味わえます。
 

 壁の煉瓦が、
 ごっそり逝ってます。
 うわ〜〜 さすが古いだけあるわ。
 表面に苔が付いてるので、
 崩れたのは何年も前だろうか?
 下には煉瓦の破片が落ちてます。
 ちなみにこの煉瓦の壁、
 イギリス積みと言う積み方です。

 
 いろいろ残ってるけど、
 枕木やレールまでは無いようです。
 でも、バラストは残ってた。
 アーチのコンクリは、
 ず〜〜っと続いてます。
 今はまだ比較的きれいな状態ですが、
 はたしてこの先も大丈夫なのだろうか?
 トンネルは曲がってるのか、
 出口が見えません。
 

 こんな所にも電気関係のBOXがあった。
 プラスチック製の白いやつです。
 フタを開けてみました。
 中のスイッチが“ON”になってます。
 下のフタには「200ボルト コンセント」と
 書いてあります。
 何に使うのだろう?

 
 やっぱり崩れてます。
 天井のアーチから落ちて来たらしき
 煉瓦が沢山落ちてます。
 土もたまってるけど、
 これは外から持ち込まれたみたいですね。
 白い物は金属の薄い板です。
 ひょっとしてゴミ捨て場なの?
 いや、まさかね。
 ここあたりはコンクリが無くて、
 本来の煉瓦トンネルです。
 あれ。左にある窪みは何?
 
 待避抗だ。
 しかもでかい。
 10人くらい詰め込めそう。
 そりゃ微妙な大きさか?
 ここもコンクリで補強されてます。
 
 穴開いてるし・・・
 トンネルの中は真っ暗でなんも見えないけど、
 写真に撮ってみると、
 鮮やかな煉瓦の色がわかります。
 ちょっと専門的な話になるけど、
 スプリングラインを境に、
 下はイギリス積みで、上は長手積みになってる。
 しかも、イギリス積みの裏側は小口積みですよ。
 あれ?よく見たら長手が混ざってる。
 これは強度を高めるためみたいです。
 それにしても積み方が雑ですね。
 崩れる原因はそれか?
 それともう少し大きな画像が別窓で見れます。
 
 相変わらず路盤には土砂が溜まってる。
 これはコンクリートみたい。
 でも、天井は崩れてないよ。
 やっぱり外から持って来た?

 もう半分以上来てるのに、
 まだ出口が見えません。
 でも、前に見えてるあの細長い光は・・・
 まさか・・・出口?
 なんか下に積もってる土砂が
 だんだん増えて来てる。
 まさか・・・埋まってるの?
 
 土砂はどんどん高くなっていき、
 ついにはトンネルを塞いでしまいました。
 閉塞してます。
 そうか、外から土砂を入れて
 塞いでしまったのですね。
 ちゃんと保存されてると思ったのに、
 どういうコト?
 トンネル内部の探索はここで終了。
 にしようと思ったけど、
 せっかくなので最後まで行きます。
 
 閉塞点まで来ました。
 びっしり詰まってます。
 しかし小さな隙間が開いていて、
 外の景色がわずかに見える。
 家が数軒建っているみたいです。
 では戻りましょう。

 ・・・現地じゃ気付かなかったけど、
 天井にくっついてる黒い物はなに??
 画像を拡大して見たら…
 カマドウマだ!
 き…気持ちわるぅ…
 
 外に出て閉塞した坑口まで来ました。
 草に埋もれるように
 トンネルがあります。
 あれ? 何か変です。
 何か違和感が…
 ああ、そうか。
 トンネルのアーチが低い位置にあるんだ。
 トンネルの前の軌道跡が埋められて、
 かさ上げされてるって事?
 
 近くで見ても、まだ違和感がある。
 まあ、あからさまに変なんですが…
 煉瓦のポータルに、コンクリートが被せてあるよ。
 どうやらポータルの表面の煉瓦が
 崩れたのを補修したみたいです。
 それと、アーチの所に
 さっき見た隙間があります。
 ついさっきまで、あの向こうに居たんだ。
 この中に自分が居るのを想像すると
 なんか変な感じですね。
 
 全部コンクリートで
 固めてあるかと思ったけど、
 ふちの方はそのままだった。
 ちょっと中途半端。
 
 こちらは贄川駅の方向になります。
 どうやら左側のスペースが
 線路が通っていた軌道跡のようです。
 ここから先は、現役の線路が
 トンネルから出た所で合流するルートを
 通っていたみたいです。

[2006年6月現在]

山の中の廃トンネルにしては、思いのほか綺麗な状態で残っていました。
トンネル前の施設は、見学者のための物なのでしょうか?
内部には色々な物があり、見所も多く、廃物件らしさもあってお薦めの場所です。
廃線跡探索にはもってこいの物件かもしれません。
ただし、整備保存されている場所なので、荒らしたり騒いだりして地元の人達に迷惑を掛けないで下さい。
肝試しなんかは、もってのほかです。絶対にやらないように。
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