【岐阜県・県道408号線-二ツ渡瀬廃道】
岐阜県蛭川村と福岡町の間にある県道の廃道です。現道は味気ない程あっさり通過してしまいます。
青字…ラピスのコメント ■黒字…作者のコメント
 
 県道408号線のルートは、
 山の中を気持ちよく走ってます。
 そんな道にも険道だった頃がありました。
 今回の廃道探索は、
 森の中に置き忘れられた道を見て来ました。
 ちなみに「二ツ渡瀬」とは、
 廃道の横にある橋の名前です。
 地図も見てね→■周辺図■

 黄色い柵やタイヤが県道沿いに並んでます。
 隠しても隠しきれない廃道の姿。
 県道の旧道は森の中に消えて行きます。
 いい雰囲気の廃道ですね〜
 森に飲み込まれているけど、
 まだまだ「道」の状態を保ってます。
 ではさっそく侵入してみましょう。
 いまさらながら思うけど、
 こんな所に喜んで入るのって
 普通の人には理解出来ない、変な趣味よね…
 でもまあ気にしないで行ってみよ〜(^ω^)ノ
 
 しっかりアスファルトが残ってます。
 その上に落ち葉が積もって、
 何だか枯れた景色になってます。
 倒木っていうか、折れた木が並んでますが、
 まるで誰かが意図的に置いたようでもあります。
 でも、これはこれでナイスな風景。
 
 進むにつれて草の勢いは増して来るけど、
 枯れちゃってるので楽勝で通れます。
 ガサガサと歩いていると、
 右手の山の方からバサバサと音が…!
 え?何ですか(″Д″)
 よく見たら鳥でした。
 さらによく見たら、なんと記事じゃないですか。
 いや、記事じゃなくて雉です。きじ。
 猿や鹿は見た事があるけど、
 雉は初めて見ましたよ。
 2羽いたので、つがいかもしれません。
 デジカメで撮影しようとしたけど、
 さっさと山の中に消えてしまいました。残念。
 
 ここらで道はカーブしてます。
 ヘアピンカーブでぐるっと向きを変えます。
 それにしても、なんともいい荒れ具合。
 緑色の苔が彩りを添えてますね。
 
 カーブを曲がってすぐに現道に出ます。
 ここにもタイヤと柵が並んでます。
 そんなに通したくないの?
 こんなとこ誰も通りゃしませんて。
 とか言いつつ自分が通ってるって。
 でもしょうがない事です。
 こんないい感じの廃道があれば、
 誰でも通りたくなります( ̄ω ̄)=3

 誰でも は言い過ぎですね。
 しかし今ここを見ているあなたなら
 行ってみたいと思うはず( ̄▽ ̄)
 
 新旧県道が交差する所。
 けっこうな山の中を通る道なのに
 思ったより通行があります。
 それにしてもこのタイヤ、新しくない?
 最近置いたんでしょうか。
 タイヤの不法投棄に見えなくもない…
 
 向い側に渡って、振り返って今来た道を撮影。
 山道と化した廃道が森の中に続いてます。
 こうして見ると坂になってるのがわかります。
 この県道408号線は、ここに来るまでも
 快適な道になってたけど、
 まだこんな廃道が、
 森の中に眠ってるのでしょうか。
 
 現道をはさんで、廃道はまだまだ続きます。
 再び廃道に侵入。
 短い坂を下ると、傍らの崖が崩れてます。
 崩落という程ではないけど
 路面に細かな砂利が流れ出てます。
 よく見たらこれは風化した花崗岩ですよ。
 この廃道のある所はあの「苗木」の近くです。
 苗木とは、日本三大ペグマタイトの一つです。
 鉱物ファンの間では有名な所です。
 何かないかと探してみたけど、
 これといった物はなかったです。残念。
 あ。 ペグマタイトって何?っていう人。
 後で詳しく解説するのでちょっと待ってね。
 
 ここも落ち葉が散乱してます。
 上に木の枝が張り出して無い分、
 日の光が入って来て明るくなってます。

 それですごい気になるんだけど、
 木にひっかかっている青いビニールは何でしょう?
 何かの境界?
 それにしても何本も無造作に絡み付いてます。
 しかも、ず〜っと奥まで続いていて…  
 
 青いビニールテープが倒木にまで絡み付いてます。
 誰が一体何のためにこんな事をしたんでしょう。
 よく考えたらこれって、けっこう無気味かも?

 それと、この道の横には小さな川が流れていて、
 ちょっとした渓流になってます。
 でも、雑然とした感じです。
 あんまりきれいじゃないね( ̄▽ ̄)
 例によって道が崩れてる所が…
 
 さて例のビニールテープですが、
 ひっかかっているだけじゃなく
 木に巻き付けてあるので、
 明らかに目的があっての事のようです。
 立ち入り禁止って事ですか?
 松茸山なんかじゃロープがはってあるけど、
 これもそのたぐい?
 でも私は入っちゃってますけど。
 ま、いっか。
 
 何か湿っぽいです。
 もうそろそろ廃道区間も終わりというのに
 路面が濡れ濡れになって来ました。
 で、後でわかった事なんですが、
 ここいら一帯、保護されている湿地だそうです。
 県道沿いに看板が立ってました。
 貴重な生物や景観保存のために
 入っちゃだめだそうです。
 景観保存?
 それってこの廃道の事?それともあの小さな川?
 何にしても、あのビニールテープのおかげで
 景観台無し。
 
 再び現道に出て廃道探索は終了。
 結局ビニールテープはここまで延びてました。
 本当になんなんでしょう。
 ここの正面には民家があります。
 旧道は現道を突っ切っていたようですが、
 現在はよくわかりません。
 でもこの先には、旧道跡らしき場所があります。
 昔の空中写真を見ると
 この廃道の現役時代の姿が写ってます。
 下り坂で、しかもカーブが連続している、
 ちょっと危険な道だったようです。
 
 現道に出て来て、廃道の方を撮影。
 ここもがっちり柵でガードされております。
 左側には廃道横を流れていた川に橋が掛かってます。
 「二ツ渡瀬橋」です。
 欄干は無く、ガードレールしかありませんが、
 銘板はしっかり付いてました。

[2004年12月現在]

廃道としてちょうどいい具合になっている旧道でした。しかし、この辺りの湿地帯は
福岡町教育委員会により保護されているので、安易な侵入は考えものです。

この県道408号線は「中野方苗木線」と言う名前です。「苗木」とは岐阜県中津川市にある地名であり、
日本三大ペグマタイトのひとつです。
ペグマタイトとは何か?花崗岩は御存じだと思いますが、その花崗岩には巨晶花崗岩と言う物があります。
マグマが冷えて固まる時、結晶の中に入れない成分は、空洞になった場所に集まります。
それらはゆっくりと冷えて大きな結晶となり、その結晶の集合体をペグマタイト(巨晶花崗岩)と言います。
ペグマタイトは主に石英・長石で出来ていますが、その中には水晶・トパーズ・アクアマリンなどの
珍しい鉱物を含みます。
日本三大ペグマタイトの残り二つは、滋賀県の田上、福島県の石川です。

ペグマタイトとはこういう物です。ちなみにこれは長野県根羽村で採集した物。
石英と長石の結晶で、茶色く見えるのは「ざくろ石」です。
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