【東濃鉄道駄知線 廃線-日帰トンネル】
かつて岐阜県を走っていた東濃鉄道。この地方の特産品・美濃焼を運ぶために、大正13年に造られました。
しかし、昭和47年7月の集中豪雨によって土岐川橋梁が流失してしまい、
昭和49年10月に復旧のめどが立たないまま廃止されました。
青字…ラピスのコメント ■黒字…作者のコメント
 
 県道66号線を通っていると、
 川もなにも無い所で大きく越える橋がある。
 そんな不思議なトコロ。
 それこそ東濃鉄道駄知線が通っていた跡です。
 この駄知線にはただ1つ
 山の中に埋もれたトンネルがあります。
 周辺図はこちら→■周辺図■

 “山の中に埋もれた”と言うだけあって
 まともには行けないと
 もっぱらウワサの、駄知線「日帰トンネル」。
 線路跡は完全に薮に埋もれてるそうです。
 しかも県道からは、かなりの距離を
 薮こぎしなきゃいけないみたい。
 それで、最短距離でアタックすべく、
 駄知町側から山越えでトンネルを目指します。
 県道から少し入った道端から
 森の中の斜面を下りて来ました。
 すると丸い石が沢山転がる、
 川みたいな所に出ました。
 途中には砂防ダムまであった。
 
 川と言うよりは、雨が降ったときなんかに
 水が流れる場所ですね。
 ここに転がってる石は、
 川の中流から下流には普通にある丸い礫岩だけど、
 ここは上流?からわずかな距離しかないので
 川の流れで石が丸くなったりしません。
 不思議ですね。
 いや、不思議でもないか。
 ここら一帯には丸い河原の石が沢山入った
 砂礫層が広がってます。
 その石が掘り起こされて集まったのかも。
 で、そんな所を60mぐらい来たところで、
 あやしい場所が・・・
 
 地形図で調べてみると、
 トンネルの前は切り通しになってるようです。
 川の横にそれっぽい所があったので、
 行ってみました。
 ビンゴです!
 大当たり!
 人工的な石積みと、左側に見えるのは…
 ト・ン・ネ・ル
 そう、あれが「日帰トンネル」に
 間違いナシよ。
 
 線路跡に下りて、
 左側、つまり駄知町側に向くと
 ト・ン・ネ・ル (≧▽≦)ノシ
 うわさのトンネルが
 今まさに白日の元に!
 なる程、すっかり自然に帰ってますね。
 あちこちに咲くピンクの花が綺麗です。

 では、近くに行ってみましょう。
 
 なんと
 煉瓦のポータル!
 煉瓦ですよレンガ!
 今の今まで、
 コンクリートのトンネルだとばかり思ってた。
 これは大発見。
 これは嬉しい誤算。
 これは興奮もの。
 さすが大正ものだ。
 
 訪れる人がいないので、
 きれいなものです。
 まったく荒らされてません。

 さて、もっとじっくり見てみましょう。
 切り通しの幅が狭いので、
 ピラスターはありません。
 でも、笠石と帯石はしっかりある。
 アーチの煉瓦は5重巻です。
 
 枕木とかレールはすでにありません。
 でも、鉄道の施設らしき物があった。
 2枚上の写真には、
 左端に大きな箱状の物が写ってます。
 トンネルの真ん前に落ちてる
 これは何だろう?
 
 内部の煉瓦はどんな状態なんで・・・
 ―って、あれぇ??
 コンクリートだ。
 煉瓦の上に塗ってあるのかと思ったら、
 型枠の跡が付いてますよ。
 という事は、
 しっかりとコンクリで造ってある訳だ。
 まさか煉瓦なのは外側だけ?
 それとも後からコンクリートで作り直したの?
 そんなに長くないトンネルですが、
 反対側の出口が見えないのは、
 県道のために潰されてしまい、
 法面に埋められたからと思われます。
 
 中から見た外の様子です。
 ここをずっと進めば、
 県道66号線に出られるはずです。
 ・・・それで、さっきから
 変な鳴き声が聞こえるんですが…
 しかもトンネルの中から…
 ほら、また聞こえた。
 キャンキャン みたいな?
 犬 なのか?
 野犬だったらやばいんで、
 内部の侵入は中止します。
 
 線路跡を県道に向って歩いてみました。
 でもすぐに薮に遮られてしまいます。
 こんな所を歩くのは勘弁ですね。
 しかもトンネルを見た後だし。
 ここにもピンクの花が咲いてます。
 どうやらこれは「シデコブシ」みたい。
 自生しているものは絶滅危惧種だそうで、
 レッドデータブックにも載ってるそうです。
 ここを訪れた際は、
 折ったりしないで大事にして下さいね。
[2007年4月現在]

1922年(大正11年)に軽便鉄道として駄知鉄道が開業しました。
全線開通したのは1924年(大正13年)で、土岐市から出発した列車は、
土岐津〜神明口〜土岐口〜下石〜山神〜駄知、終着駅の東駄知と走っていました。
当初ガソリンカーが走っていましたが、1950年(昭和25年)に電化されました。
昭和47年の災害のため、2年後に廃線となってからは、
線路の一部が、サイクリングロードなどに転用されたりしていますが、
トンネルの前後は完全に自然に帰った状態になっています。

ちなみにトンネルの中からの鳴き声ですが、よくよく考えてみると、カエルの鳴き声かもしれません
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