【愛知県・東栄町-預り渕の吊り橋】
まったく情報の無いところから、自力で見つけ出した吊り橋です。
地図にすら記載されていない物を、空中写真を使って探し出しました。
国道473号線を少し山に入った場所にあるのに、入る道が怪しくて・・・
青字…ラピスのコメント ■黒字…作者のコメント
 
 まったく情報が無い訳じゃなく、
 道路や橋を紹介するサイトでは
 見掛けないだけです。
 ではさっそく行ってみよ〜

 どこだか分からないので→■周辺図■

 どこの地図にも載ってないので、
 探すのに手間取りましたよ。
 いえ、橋に行く道は分かってるのです。
 空中写真で見ると、
 道が私有地を横切ってるように見えて
 別の道を探したのですが、
 それが大外れで・・・
 結局、私有地を通る道の方に来ました。
 ここは国道との分岐点。
 あれ? 案内看板?
 どうやら、橋のある「預り渕」までは
 普通に通れるみたいです。
 
 看板の所を真っすぐ進むと、
 人の家に行っちゃうので右折。
 民家の裏を過ぎると、山道になります。
 うわ〜〜… なんか、クマが出そう。
 路面に動物のフンが沢山落ちてたし…
 右側を見ると、渓流がチラチラ見えます。
 空中写真で見ると
 吊り橋が架かってるはずだけど、
 はたして本当に吊り橋だろうか?
 
 山道のような遊歩道を歩くと、
 間もなく橋に到着。
 ああ、よかった、吊り橋だったわ。
 ちょっと写しづらいけど、
 コンクリ製の主塔と黄色い橋桁です。
 メインケーブルは赤茶色です。
 なかなかにカラフルですよ。
 
 で、例によって名前は分からない…っと。
 主塔が結構汚れてたので、
 思いのほか古い橋なのかも。
 昭和後期あたり?
 橋桁にはごっつい欄干が付いてます。
 トラス状になってるので、
 補剛トラスってやつでしょうか?
 まあ、頑丈そうですね。
 
 今回は下から見るのが困難なので、
 全体の写真はこれが精一杯です。
 橋桁の下の釣り桁という部分も
 赤色してますね。
 今日は11月の紅葉シーズンなので、
 周りの木々も黄色く色付いてます。
 成る程、だから橋も黄色なんだ〜〜。
 
 渡ってみても、頑丈ゆえに
 ぜんっぜん揺れませんでしたね。
 対岸にも細い道が続いていて、
 どうやらこの上の集落に行けるみたい。
 と言っても、本当に行けるのかは
 確認してませんが・・・
 こっちは床に大量の落ち葉が積もってた。
 
 対岸に渡って振り返ってみた。
 う〜〜ん、なんて言うか
 質実剛健?
 かっちりきっちり造られてます。
 無駄を削ぎ落とした
 まさに引き算のデザインですね。
 まあ…橋桁の方は多少過剰なような
 気もしますが…ね。
 
 さて、「預り渕」とはなんぞや?
 東栄町を流れる大千瀬川が
 ぐるりと向きを変える所にあります。
 ちょうど写真の真ん中ちょっと右側です。
 ここにはポットホールと言うのもあって、
 吊り橋の上からも見えるようです。
 その預り渕に流れ落ちている滝は
 「預り滝」と言うそうな。
 写真の真ん中の段差の事でしょうか?
 
 反対側は渓谷が一直線に続いてます。
 キレイ! なんと言う綺麗な景色でしょう。
 木々がいい具合に色付いてますが、
 見頃になるのは、あと一週間後ぐらいかも。
 ちなみに、右側の森の後ろに
 国道473号線が通ってます。
 残念ながら国道からは、
 この渓谷美がほとんど見えません。
 
 最後に、ポットホールの解説看板をどうぞ。
 これは最初の写真の案内看板の下に
 立ってる物です。
 あの綺麗な渓谷は、
 「振草渓谷」と言うんだって。
 今日は穏やかな水の流れでしたが、
 増水すると激しい流れになります。
 だからポットホールが出来るんだ。

[2010年11月現在]

この吊り橋は、預り渕や振草渓谷の観察の為に架かっているようですが、
対岸にも細い山道が続いているところを見ると、
山の中腹にある集落から、国道に出るための道に架けられた橋だったのかもしれません。
「預り渕」と言う名前も、何やらいわくを感じます。
東栄町に伝わる伝説によると、この渕には古くから渕の主として水神様を祀っており、
材木を流す際には、お神酒を捧げ、水神様のお祭りをするのが習わしになっていたが、
ある横着なヒョウ(人名か?)が、お祭りもしないでどんどん滝から材木を流し込んだ。
ところが材木は全て渕に沈んでしまい、1本も浮かんでこなくなった。
恐れおののき、翌日に丁寧にお祭りをすると、不思議な事に材木は浮かんできた。
しかし、材木はみな黒焦げになっていたとの事である。
水神様が材木を“預かった”事から、預り渕なのでしょうか?
「櫃渕」という渕も、材木を流し込むと、黒く焼けたようになって出て来ると云われています。
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