【岐阜県・多治見市-天ヶ橋】
岐阜県多治見市にある、中央本線の駅・古虎渓(ここけい)駅のそばに架かる大正時代の橋、
「天ヶ橋(あまがはし)」と小さな素堀り隧道を見て来ました。
青字…ラピスのコメント ■黒字…作者のコメント
 
 以前から愛岐道路の
 古虎渓トンネルの横に
 赤い古い橋があるのは知ってたけど、
 いまいち興味が湧かなくて、
 行きそびれてました。
 でも、大正時代に出来た橋ですって?
 そ・それは見てみなきゃ。
 その赤い橋はここに→■周辺図■

 愛知県と岐阜県を結ぶ県道15号線は、
 以前は有料道路・愛岐道路でした。
 その道の県境近くに唯一あるトンネル
 「古虎渓トンネル」の横には、
 もうひとつ小さな隧道があります。
 といっても、愛岐道路の旧道ではなく、
 市之倉から春日井市や内津峠に行く
 昔ながらの細い道のものです。
 それに昭和7年の地形図を見ると、
 古虎渓駅さえありません。
 本当にただの山の中。
 
 県道脇の歩道を、多治見方面から来ると、
 ロックシェードの横を行きます。
 そこを少し歩くと、
 目の前に小さなロックシェードを備えた
 小さな隧道が現れます。
 あまりに小さくて地図にも載ってない。
 地図によっては、
 天ヶ橋すら無いのもあった。
 なんだかいいかげんだ。
 
 近付いてみると、
 ロックシェードは中まで続いてる。
 金属製のネットまであるし、
 ここってそんなに崩れやすいの?
 こんなのがあるって事は、
 中は岩盤剥き出しの、素堀り状態ですね。
 
 内部も金属板でがっちり守られてます。
 こういうのも“セグメント”と
 言うんだろうか?
 新しそうに見えるけど、
 ボルトとか錆びてて、結構古そう。
 あ。何か字が書いてある。
 なんだろう?
 
 「マムシ キヨツケロ」
 マムシってどんな虫?
 って毒蛇だ〜〜〜っ!!
 ああ、そういえばトンネル入り口の
 貼紙にもそんな事が書いてある。
 ある意味、熊出没注意より恐い。
 カカタナで書いてあるのが恐い。
 とっても真実味があって超コワイ。

 ま、せいぜい気を付けよっと。
 
 隧道を通り抜けて、
 振り返ってみると、こんな感じ。
 向こうに県道のロックシェードが見える。
 この隧道も大正時代の物だろうか?
 地図にも載って無いぐらいなので、
 名前はわかりませんでした。
 
 隧道から少し行くと、
 道が右に曲がります。
 これが「天ヶ橋」。
 今回の主役です。
 歩道は左側にも分かれていて、
 古虎渓トンネルの反対側に出ます。
 でもなぜだか通行止中。
 ほとんどの人が橋を渡って、
 古虎渓駅に行くので、
 別に困らないのかも?
 
 さて、これが天ヶ橋です。
 歩行者専用?なので
 ガードレールのかわりにネットの柵です。
 長さ48.6m
 その向こうには、古虎渓駅を出発して、
 多治見駅に向う中央本線の列車がいます。
 タイミングばっちり。
 いい絵が撮れた。

 では渡りましょう。
 
 橋の全体像を写そうと思ったけど、
 雑草がじゃまで、
 こんなのしか写せなかった。
 それにしても優雅な姿です。
 1926年大正15年完成の
 “上路2ヒンジブレスドリブアーチ”です。
 “2ヒンジアーチ”ってのは
 アーチの根元をヒンジで固定している橋です。
 赤い色が緑にはえていい景色。
 山を下って来て、目の前にこれが見えたら
 なおさら鮮やかに見えたことでしょう。
 
 とはいえもっと近くから見れないだろうか。
 あ。北側からならいけそう。
 雑草もないしよく見えそう。
 だって路肩が無いし。
 っていうか道じゃないし。
 実はここ、コンクリートの法面の上です。
 幅が80cmぐらいしかないです。
 下を見ると… ああ、高い…
 どのくらいの高さかは、写真を見て想像して。
 おかげでいい写真が撮れた。
 アーチの様子がよくわかります。
 でも、恐いのでさっさと退散。
 落ちたら本当に死にます。マジです。
 
 親柱なのかな、これは?
 こんなに離れた所にあるのはなぜ?
 昔はここまで欄干があったのかもしれません。
 反対側にもあったけど、
 何で残ってるの?
 どうせなら、
 銘板を付けなおしてほしかった。

[2006年6月現在]

コンクリートで固められた鹿乗橋と違い、当時の姿をよく残しています。
橋桁の路面部分も、竣工当時の姿ならもっとよかったでしょう。
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