【国道418号線-二股トンネル廃道 周辺図】
岐阜県の木曽川沿いを走る国道418号線には、雰囲気のある「二股トンネル(隧道)」があります。
その横には旧道の跡が存在します。

【二股隧道拡大図】(改訂版)
旧道の道筋や崩落箇所は、空中写真を参考にしております。
国土地理院を元にしたYahoo!地図と、GISぎふの地図の相違点が、まるで旧隧道が存在するかの様に見えますが、
後の調査・検証によって、国土地理院の方が間違いである事がわかりました。
国土地理院の地図で東側の坑口がある場所は、実際には谷になっております。


二股トンネル(隧道)の由来は、トンネルの途中にもう1本のトンネルが分かれているから、と言う説があります。
確かに現トンネルの横には、まるでトンネルのような穴がありました。
多分これを見た人が、「もう1本の隧道」なんて事を考えたのではないでしょうか?
しかし、上の拡大図を見ると、素堀りトンネルを延長していっても二股隧道に繋がりません。むしろ離れて行きます。
もしかしてこのトンネルは、崩落を迂回するために掘られたものの、何かの理由で放棄されたのかもしれません。
途中で埋められていると言う事は、その先にも続いていて、反対側に貫通、なんて事も・・・
だとすれば、この素堀りトンネルこそが、旧隧道と言えなくもないですね。(^^;)

二股トンネルこと二股隧道は、別名「朝鮮トンネル」と言われる事があります。
強制連行されてきた朝鮮人によって造られたからとも、工事で死んだ朝鮮人が壁に埋められているからとも言われます。
今では有り難くない事に、心霊スポットとして有名な物件になってしまいました。
はたして本当に噂にあるような事実はあったのか?
二股トンネルがある国道418号線は、元は県道日吉八百津線でした。
この県道は丸山ダムの補償として、付け替えられた道です。
丸山ダムの建設は戦前から始まっていましたが、二股トンネルが出来たのは戦後の昭和31年です。
戦後なら強制連行云々は矛盾しますが、トンネルの横の素堀りのトンネルこそ朝鮮トンネルで、
戦時中にいそいで造るため朝鮮人を強制労働させた…なんて話もあります。

さて、丸山ダムを造った関西電力の公式資料とも言える、「丸山発電所工事誌」によると、
ダムは戦争に間に合わせるために、工事用の機械をかき集め、下流の兼山ダム建設の人員をまわして着工された。
戦時下の労働者募集や地理的条件なども加わり、工事は順調に進行していたが、
戦争の為に鉄鋼やセメントが不足し、工事が中止された。
中止された時工事は、運搬用軌道・索道・混合プラント、ダム堤体掘削着手・排水隧道の導坑掘進中・取水口・
隧道・水槽・発電所基礎・放水口仮締切コンクリートまで進んでいた。
・・・
中止の段階で進捗率が13%ほどだったので、ほとんどダム本体工事しか出来なかったでしょう。
元々工事期間が4年もなかったので、ダムに直接関係の無い、県道のトンネルが造られる事は無かったはずです。
終戦後、昭和27年に建設工事が再開され、昭和30年に完成しています。

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