【国道417号線-徳山の橋】2006年9月編
50年以上もかけて、ようやく徳山ダムが完成し、試験湛水が始まりました。
水没地域には立ち入りが出来なくなりましたが、新しい橋や隧道が通行出来るようになりました。
青字…ラピスのコメント ■黒字…作者のコメント
 
 ついに新しい道が開通 しました!
 今まで下から見上げていた橋を
 実際に走る事が出来ます!
 でもそれは同時に、もう二度と、
 旧・徳山村の道を通れないという事です。
 ちょっと寂しいですね。
 しかし、あのでっかい橋が渡れるんだ。
 という訳で、さっそく行って来ました。

 「徳之山八徳橋」の完全な姿が目の前に…
 感無量ですね。
 最初に来た時は、橋脚しか出来てなくて、
 いつになったら完成するんだろう?
 って考えてました。
 すごいよねぇ。ちゃんと出来てる。
 実は橋を渡らずに、横道にそれて
 徳山会館の方に来ました。
 まずは横から見てみようと。
 では、待ちに待った徳之山八徳橋の
 渡り初めです。
【徳之山八徳橋】

 これかぁ。
 想像してた通りの景色だ。
 ストイックな程に無駄を削ぎ落とした姿が、
 なかなかクールです。
 今日はけっこう沢山車が走ってる。
 それに、橋の上に車を停めて見物してる人もいる。
 気持ちはわかるけど、
 危ないのでやめた方がよろしいかと・・・
 もちろん私はそんな事してません。
 
 上の写真を撮った所から、
 漆原乙女隧道の方はこんな感じです。
 さすが世界最大スパンだ。
 隧道の出口がはるかかなたに見える。
 右側に見える高架橋は、
 国道417号線の付け替え道です。
 今や旧道ってわけですね。
 
 橋の上からは、徳山ダムを見る事が出来ます。
 もうすでに川の水量が増えていて、
 県道270号線にせまって来てます。
 むろんこの県道もまた旧道です。
 川の右側に白っぽい色の部分があるけど、
 ここはすでに水没してしまった、工事用の道です。
 徳山の村を飲み込むために、
 どんどん水が流れ込んで来ます。
 2ヶ月もしたら、完全に水没してしまうのでしょう。

 ちなみにこの写真だけ別窓で、
 大きな画像が出ます。
【洞山鬼岩隧道】

 橋を渡った先には隧道が口を開けてます。
 「洞山鬼岩隧道」です。
 ポータルの上の斜面にある
 白い物は何だろう?
 近くで見てみたら横断幕だった。
 「試験湛水反対」書いてある。
 いくら反対しても、
 すでに手遅れなような気が・・・
 青い看板には、
 この先の国道と県道の分かれ道の
 案内が書いてあります。

 
 洞山鬼岩隧道を抜けて来ました。
 ここが県道との分岐点です。
 しかもこの場所は、高架橋のようになっていて、
 山の斜面に浮かぶように造ってあります。
 国道に行く前に、
 県道270号線の新しい橋を
 ちょっと見て来ましょう。
 県道へは左側を行きます。
【五平能無橋】

 かつてふたつ並んだヤジロべー。
 「五平能舞橋」です。

 
徳之山八徳橋以外は、
 基本的に同じデザインの橋のようです。
 3ケタ県道とは思えない立派な橋です。
 でも立派なのはここまで。
 ここから先は、今まで通りの険道。
 大型車は通れません。
 ものすごいオーバークオリティですよ。
 まあ、貧弱な橋を架けるよりましか…
 でもちょっと待って、付け替えられる前の道が
 まだこのすぐ下にあるじゃない?
 いつか見に行ってみよう。

【クツ尾杉の木橋】

 さて、再び国道417号線に戻って来ました。
 ここからさっきの場所を見ると、
 道が斜面に浮かんでる様子がわかります。
 何で山を削り取らなかったんだろう?
 環境保護のためだろうか。
 右の少し低い位置にある鉄板の道は、
 道路工事用のプラットホームです。
 こちらの方がまさしく、空中回廊だ。

 上の場所から西側を見てみました。
 山、削られてますねぇ。
 環境に配慮とか、そんな理由じゃないの?
【漆谷上原橋】

 「漆谷上原橋」です。
 これはダムの方を向いて撮ってます。
 橋桁の横には、排水管がずらりと並んでます。
 一種独特な景色だ。
 それと、橋の名前がひらがなで書かれた
 銘版があったのだけど、
 見てびっくり。
 「しったに あんぎゃらはし」
 “あんぎゃら”?
 なにそれ?
 これもまた、村の昔話なんかと
 関係あるのでしょうか。

 そこから下を見ると、
 手前に国道の旧道が見えます。
 あの橋は以前のレポートに出て来た「漆谷橋」だ。
 今まではあそこから、この橋を見上げてたんだ。
 う〜ん、遠いなぁ。
 あそこには、今にも落ちそうな
 親柱があったのよね。

 上に見える川の横の道をさかのぼると、
 「戸入」の集落へ行く事が出来ました。
【カンノセ合掌隧道】

 なにやら有り難い名前とは裏腹に、
 ものすごく普通なトンネル、
 「カンノセ合掌隧道」。
 「カンノセ岩」ってのがあって、
 みんなが思わず手を合わせたので、
 「合掌」だそうです。
 ・・・あってるかな?
【磯谷ベロリ橋】

 猟師と山姥の話から付いた「磯谷ベロリ橋」。
 山姥との約束を破ったために、
 八つ裂きにされた猟師の頭の皮が、
 “ベロリ”と剥がれたので、
 山姥の居た穴を「ベロリ穴」と言うようになった。
 って昔話が名前の由来なんだけど、
 ベロリと剥がれた…って、スプラッタな話だわ!
 そう言えば、前のレポートに
 猟師と“白い熊”の話って書いたけど、
 山姥が捕まえた熊の事みたいです。
 橋自体は、いたって普通。
 橋桁の上に何もないので、
 ここが橋だって気が付かないかも。

 下を見ると、国道の旧道がちらっと見える。
 手前のカーブした道の右に少し見えるのが、
 旧・国道417号線です。
【扇谷姫街道橋】

 お姫さまが通った道だったんだろうか?
 「扇谷姫街道橋」です。
 これもダム側を向いて撮ってます。
  徳之山八徳橋からけっこう来ました。
 快適で走り易い道ですが、
 国道自体は途中までしかありません。
 その先は林道を使って、
 冠山峠を越えなければ、
 福井県側の国道417号線には行けません。
 実は使えそうで使えない道な訳です。
 
 この扇谷姫街道橋も、ずっと下から見てました。
 写真の中に掛かる小さな橋から
 ここを見上げてたっけ。
 旧道沿いでは、まだ何か作業をやってます。
 しかし、水没してから10年も経てば、
 今下に見えてる景色は全て泥に埋まり、
 何もかも無くなってしまうでしょう。
 このレポートを発表した時点で、
 すでに試験湛水開始後1ヶ月経ってます。
 すでにいくつかの橋は
 沈んでしまったようです。

[2006年9月現在]

今もって問題山積みなまま進んでいる、徳山ダム建設です。
旧・徳山村の周辺の山林に管理道路設置を求める、元村民の意思を無視する様に試験湛水が開始され、
ダム建設を進める水資源機構と、元村民の間の溝がさらに深まってしまいました。
洞山鬼岩隧道の上に掲げれた横断幕は、そんな元村民の抗議なのです。
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